メンデルスゾーン オルガンソナタ第6番 ニ短調

オルガンの名手であったF.メンデルスゾーンは、当時あまり評価されていなかったJ.S.バッハを広く世界に紹介したバッハ研究家の先駆けとしても知られています。バッハのコラール(ルター派教会の会衆賛美)にもとづくオルガン曲集(1844年発行)の編纂にあたっていたメンデルスゾーンは、時を同じくして6つのオルガンソナタ集をまとめ、1845年に出版しました。オルガンソナタという名前がついていますが、いわゆる古典ソナタ形式で書かれていません。バッハの生きたバロック時代、「ソナタ」は漠然と「器楽曲」を指す言葉で、特定の形式にとらわれない、自由な楽曲をまとめたものでした。メンデルスゾーンは偉大なバッハという先輩に敬意を表しつつ、100年の意味での「ソナタ」を書いたのでした。

さて、オルガンソナタ第6番はメンデルスゾーンのオルガンソナタ集を締めくくる楽曲です。このソナタは7つの小曲からなっています。コラール”Vater unser im Himmelreich”の旋律を主題にして、変奏曲のように曲が紡がれています。このコラールは「主の祈り」を会衆が歌うための賛美歌です。M.ルターは宗教改革者として有名ですが、その改革の一環として、会衆が母国語で賛美歌や祈りを歌うことができるようにしました。ルターは「主の祈り」を会衆が歌うことができるように、当時すでに親しまれていたであろう旋律に載せて紹介したのです。(譜)

オルガンソナタ第6番はこのコラールを奏でることから始まります。それに続いて細かい音符を下敷きに浮遊するように同じコラールの旋律を歌う第二曲に入ります。第3曲はコラールの音符一つに対し3つの音符を刻みながら、第4曲は低音部で奏でられるコラール旋律に、高音部が絡みながら歌われます。5曲目は曲想が一変、トッカータ風、即興的で急速な動きの音符を、コラールがうなるようにして支えます。ソナタ全体で最も華麗な部分です。第6曲はフーガ風で、複雑に変形されたコラールが絡み合い荘厳に響きます。最後の第7曲は一転して穏やかに歌うような曲想です。メンデルスゾーンが、自分の生きるロマン派時代の口調で、自身の祈りとして歌っているような印象を与えながら、ソナタは閉じられます。

Jos van der Kooyの演奏でこのソナタを聞き直してみました。折しも、宗教改革記念日が近く、1517年ヴィッテンベルグのチャペルの扉に自らの信仰態度を明らかにしたルターの情熱に思いをはせながら聴きました。会衆の口にある祈りと賛美の貴さを改めて想いました。

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投稿者:

聖イエス会福音教会

福音教会牧師室より

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